【賃貸物件の入居者必見】家賃の値下げ交渉とは?言い方やタイミング、コツ、テクニックを解説
「家賃の値下げ交渉をして家計の負担を軽減したい!」
「家賃の値下げ交渉が成功しやすいタイミングは?」
このような意見・疑問を抱えている方は多いでしょう。国土交通省の調査によると、国民生活センターに寄せられる賃貸住宅に関する相談のうち、15.9%が「家賃(賃料・滞納等)に関する相談」という結果が出ています。家賃は多くの方が解決したい課題であり、トラブルにつながりやすい悩みです。
そこで本記事では、家賃の値下げ交渉のタイミングや事前に準備する内容について解説します。また、家賃の値下げ交渉のコツやポイント、注意点についても紹介します。
参照:民間賃貸住宅に関する相談対応事例集 (再改訂版)|国土交通省
そもそも家賃はどうやって決まる?
賃貸物件に住んでいると、「家賃が少しでも安くなればな…」と考えることはありませんか?そもそも家賃を設定する方法には、「賃貸事例比較法」と「積算法」の2つが挙げられます。ここからは、それぞれの方法について解説します。
類似物件や立地を参考にする「賃貸事例比較法」
賃貸事例比較法は、周辺の類似物件の家賃と比較して家賃を決定する方法です。家賃設定をする方法の中で最も一般的な手法です。
例えば、立地や物件の広さ、築年数、設備などが似ている物件を調査し、その価格を基準に家賃が設定されます。賃貸事例比較法は、周辺市場の動向を反映するため、家賃が適正価格かどうかを見極める一つの指標となります。
大家さんの意見が強い「積算法」
積算法は、物件の建築費や管理費、その他の維持費をベースに家賃を設定する方法です。積算法では、賃貸物件を持っている大家さんがどの程度の収益を出したいかが重要なファクターとなります。
また、賃貸物件の価値や維持のためのランニングコストを重視して、家賃を設定します。そのため、積算法を採用して家賃を決めている場合、ほかの物件と比べて割高となっている傾向があります。
家賃の値下げ交渉のタイミング
家賃の値下げ交渉を成功させるためには、タイミングが重要です。適切なタイミングで交渉を行うことで、より有利な条件で話が進む可能性があります。ここからは、家賃の値下げ交渉が成功しやすいタイミングを3つのケースに分けて解説します。
賃貸物件の入居前
入居前は、家賃交渉の最も有利なタイミングの一つです理由は、この時点ではまだ契約が締結されていないため、大家さん側からしたら入居者を確保することが最優先事項となるためです。
空室が続くことは大家さんにとっての最大のリスクです。できるだけ家賃収入が得られない状態が長引くのを避けたいと考えます。
そこで、たとえば周辺の類似物件の家賃が低い場合や、長らく空室が続いていた物件の場合は、家賃の値下げをお願いを受け入れられる可能性が高いと言えます。また、契約時に条件として「○○円まで下げてくれればすぐに契約します!」と伝えることで、交渉がスムーズに進むケースもあります。
入居前の家賃交渉は、更新時や入居後のタイミングよりも成功しやすいです。無理な値下げ交渉は避けるべきですが、気に入った物件があったときは思い切って値下げを提案してみても良いでしょう。
賃貸物件の更新時
賃貸契約の更新時期も、家賃交渉に適したタイミングと言えます。更新時期は、大家さんにとっても再度契約を締結する重要な時期です。このタイミングで入居者が更新せずに退去することになると、大家さんは修繕リスクや空室リスクを抱えることになるため、値下げ交渉にも耳を傾けやすい状況となります。
たとえば、更新時に近隣の賃料相場が下がっている場合や、物件の設備や建物が古くなってきている場合などは、交渉が成功しやすいと言えます。
また、「次の更新をするか、引越しをするか正直迷っています。もし、家賃を3,000円下げてくださるのであれば更新しようと思っています。」というような建設的な提案をすることで、大家さんも首を縦に振る可能性が高くなります。更新時の交渉は、「家賃が下がればありがたく住み続けたい!」という姿勢を示すことで、良好な関係を保ちながら交渉を進められるでしょう。
賃貸物件に入居後
入居後に家賃交渉をすることは可能ですが、根拠となる理由が重要です。たとえば、設備の故障が頻繁に起こる、近隣環境が悪化した、他の物件と比べて家賃が高いような状況は値下げ交渉の余地があります。
頻繁に設備のトラブルが発生している場合は、「長期的な滞在を続けたいので、家賃の見直しを検討して頂けませんか?」と素直に提案することが効果的です。
入居後の交渉は、更新時や入居前に比べて難易度は上がります。しかし、家賃に見合っていないと感じる明確な理由があれば、不動産仲介業者や大家さんが納得できる説明をすることで、家賃の値下げは実現できます。
家賃の値下げ交渉を成功させるには事前準備が大切
家賃の値下げ交渉を成功させるためには、事前準備が非常に重要です。準備が不足していると、交渉の説得力が乏しくて大家さんが納得してくれないなど、交渉が不利に進む確率が高まります。ここからは、事前準備として押さえておきたい2つのポイントを解説します。
近隣物件の入居状況や家賃相場を調べる
交渉を始める前に、まずは近隣の賃貸物件について詳しく調べることが重要です。具体的には、こちらのステップを踏んで調査しましょう。
- 不動産情報サイトや賃貸情報誌を手元に用意する
- 近隣の賃貸物件がどれくらい空いているか確認する
- 同エリアで間取りや広さ、タイプが似た物件の家賃を確認する
- 定期的に調べて相場が下落しているのか上昇しているのかを把握する
家賃の値下げ交渉を有利に進めるためには、賃貸物件の相場観を知っておくことが重要です。以下のような大手の不動産情報サイトを活用して、情報収集することがおすすめです。
参照:不動産情報サイト アットホーム|at home(アットホーム)
入居時から変化したことをまとめておく
賃貸物件の家賃交渉を成功させるためには、入居時からの変化をリストアップしておくことが効果的です。とくに、建物の老朽化や設備の劣化が原因の場合は、ビフォーアフターの情報が肝となります。
たとえば、入居時に家具家電を入れていない状態の写真を撮っておくこと、入居してしまっている場合は現在の状況を記録しておくことなどが効果的です。入居者が集めた情報を事前に整理し、大家さんや不動産仲介業者に伝えることで、家賃交渉の説得力が増します。
家賃の値下げ交渉のコツやポイント
家賃の値下げ交渉は、適切なタイミングや方法を選ぶことで成功する確率は高まります。そして、成功すれば毎月の支出を抑えることが可能です。ここからは、家賃の値下げ交渉を成功させるためのコツやポイントを紹介します。
閑散期を狙って相談する
家賃の値下げ交渉を成功させるためには、賃貸市場が閑散期に入る時期を狙って交渉を行うことが効果的です。一般的に、賃貸市場は春先や秋口(いわゆる引越しシーズン)が繁忙期です。この時期は賃貸物件の需要が高く、大家さんも強気の価格設定を維持する傾向にあります。
一方で、夏の終わりから冬にかけては、引越し希望者が減少するため、空室が目立ちやすくなります。この閑散期を狙って交渉を持ちかけることで、大家さんも空室を避けるために柔軟な対応をしてくれる可能性が高まります。
管理会社や大家さんと関係を築く
家賃交渉を成功させるためには、管理会社や大家さんとの良好な関係を築くことも重要です。普段から物件の管理状態に満足していることや、長く住み続けたい意思を示すことで、大家さんも入居者のことを信頼しやすくなります。
とくに、家賃をきちんと期日までに支払っていることや、物件を大切に使っていることをアピールすると、交渉がスムーズに進むことが多いです。また、大家さんと直接コミュニケーションを取る機会がある場合は、その際に日常会話の中で信頼関係を深めることができれば、交渉の際に有利に働くでしょう。
値下げしてほしい金額を明確に伝える
家賃の値下げを希望する場合、具体的な金額を明確に伝えることが重要です。「少しでも安くなればいいです。」といった漠然とした希望ではなく、「〇〇円に値下げしていただきたいです。」とはっきり伝えることで、相手も検討しやすくなります。
このときに、近隣の賃貸物件の家賃相場などを調査しておくと説得力が増します。市場の相場と照らし合わせて、妥当な値下げ額を提案することが交渉成功の鍵です。
断られたら敷金・礼金や手数料を相談してみる
万が一、家賃の値下げ交渉が難しい場合でも、他の条件について交渉する余地があるかもしれません。たとえば、敷金や礼金、更新手数料、共益費・管理費などです。
これらの費用も長期的に考えると大きな支出になります。家賃の値下げ交渉のときに、家賃以外の費用についても併せて交渉を行うことで、結果的に経済的負担を軽減することが可能です。
また、賃貸物件は2年ごとに契約を更新するのが一般的ですが、このときに発生する仲介手数料はとくに交渉の余地があります。こうした費用の削減ができれば、家賃の値下げと同様に家計にとっての大きなプラスです
家賃の値下げ交渉をするときの注意点
家賃の値下げ交渉は、要求が過度になりすぎると、大家さんとの関係を悪化させることとなり、結果的に逆効果で終わってしまうこともあります。ここからは、家賃の値下げ交渉をするときの注意点について解説します。
無理な金額を要求せず5%ほどに留める
家賃交渉をするときに最も重要なのは、大家さんへの要求は現実的な範囲までにとどめておくことです。無理な金額を要求すると、大家さんの反感を買い、交渉が決裂するリスクがあります。
一般的には、現在の家賃の5%前後の値下げを提案するのが妥当なラインとされています。たとえば、家賃が10万円の場合、その5%に当たる5,000円程度の値下げまでなら妥当です。
一方で、5,000円以上の額を要求すると、大家さんにとっての負担が大きくなり、そもそも交渉に応じてもらえない可能性が高くなります。適度な値下げ幅で提案することが、双方にとって現実的で、成功率も高まるポイントです。
物件のマイナス要素は慎重に伝える
家賃を値下げしてもらうためには、物件のマイナス要素を指摘することも一つの方法ですが、伝え方には注意が必要です。たとえば、日当たりが悪い、設備が古い、騒音が気になるなどの理由を挙げて交渉するのが一般的ですが、物件を所有する大家さんにストレートに伝えすぎると否定的な印象を与えかねません。
そこで、物件のマイナス要因は「クレーム」ではなく「改善点」として指摘するのがおすすめです。また、あくまで冷静かつ丁寧な言い回しを心掛けましょう。
たとえば、「この点が改善されるともっと快適に住めると思います!」と提案するような言い方や、「他の物件と比較して少し気になる点があるのですが…」といった柔らかい表現を使うことが効果的です。伝え方で大家さんに悪い印象を与えることなく、スムーズに家賃交渉を進めていきましょう。
値下げありきで賃貸物件を選ばない
家賃交渉に期待しすぎて、値下げが前提で物件を選んでしまうと、交渉がうまくいかなかった場合に後悔することになります。賃貸物件を選ぶ際には、まず自分の予算内で無理なく支払える家賃を基準に物件を選ぶことが大切です。
理想は「値下げができればラッキー!」というスタンスです。もし値下げが成功しなくても、自分が納得して住める物件を選んでおくことで、長期的な満足度は落ちません。
また、大家さん側も「値下げ前提の入居交渉」は警戒心を抱く可能性があります。あくまで、物件を気に入った上で、交渉の一環として家賃値下げを提案する方が、受け入れられやすいでしょう。
家賃の値下げ交渉に関するよくある質問
家賃の値下げ交渉を考えている人にとって、交渉の成功率や交渉後の関係性、具体的な値下げ額など、頭を悩ませる疑問は多いでしょう。ここからは、家賃の値下げ交渉に関するよくある質問に答えていきます。
家賃の値下げ交渉に失敗しても住み続けられますか?
家賃の値下げ交渉に失敗した場合でも、基本的にはそのまま住み続けることが可能です。交渉はあくまで双方の合意を目指す話し合いであり、交渉が成立しなかったからといって直ちに契約を解除されることはありません。
ただし、交渉理由が一方的な押し付けになってしまっていたり、トラブルのもとになってしまったりする場合は、次の契約更新ができなくなる可能性があります。家賃の値下げ交渉をするときは、大家さんを尊重したうえでマナーを守って挑みましょう。
長期契約をすると家賃交渉のメリットになりますか?
長期契約は家賃の値引き交渉のときに有利に働く場合があります。長期にわたって住み続けてくれる入居者がいると、安定した収入を得られるうえに空室の期間を減らすことができるため、大家さんにとっては大きなメリットです。
たとえば、「3年以上住むことを約束する代わりに、家賃を値下げしてもらえませんか?」と提案するのは、交渉の一つの戦略として効果的です。一般的な契約更新は2年なので、それ以上の期間を提示することで、家賃の減額に応じてもらえる可能性が高まります。
また、すでに入居している賃貸物件の家賃交渉では、「他の物件に引っ越すことも考えていますが、今の場所が気に入っているので、家賃が少し下がるなら引き続き住みたいです。」と伝えることで、大家さんにとっても双方にとっても利益がある状況を作り出すことができます。
家賃は5,000円以上値下げすることもできますか?
家賃の値下げ幅については、物件の状況や大家さんの事情によって異なりますが、5,000円以上の値下げが実現するケースも十分あります。たとえば、家賃が10万円以上などと、そもそもの家賃相場が高い場合です。
一般的に、家賃交渉のときの下げ幅は5%ほどが妥当です。そのため、「家賃が5万円で、そこから5,000円の値引き交渉がしたい。」というのは基本的に難しいでしょう。
ただし、近隣にある同条件の物件の家賃相場と比べて、今住んでいる賃貸物件の家賃が大幅に割高になっているなどの理由がある場合は、説得力のある資料や情報を活用して説明することをおすすめします。したがって、家賃の値下げ交渉は現実的な範囲で提案することが大切です。
家賃の値下げ交渉はタイミングと理由が大事!
家賃の値下げ交渉に成功すると、家計の負担が軽減されるなどのメリットがあります。一方で、交渉にはタイミングと理由が非常に重要です。契約更新時や引越しシーズンが終わった時期など、大家さんが次の入居者を見つけにくい時期を狙うことがおすすめです。
また、近隣物件の家賃相場や設備の老朽化、周辺環境の変化など、具体的な理由を根拠として提示することが大切です。しっかりとした理由を持って交渉することで、大家さんも納得しやすくなり、成功率が高まります。
家賃の値下げ交渉は誰でも挑戦できるものですが、現実的な範囲で提案することが重要です。適切なタイミングと理由を押さえて、今より家賃負担を軽減してみてください。