【2024年】宅建試験対策ガイド|合格するための学習方法と試験対策のポイント

不動産業界で仕事をする方にとって「宅建士」という資格はとても重要です。

宅建士になるための通過点として有名な「宅地建物取引士試験」。合格するとその資格は一生有効です。しかし、当然ながら決して簡単な資格試験ではありません。

今回は宅建士試験の概要を説明したうえで、合格のための学習方法や試験対策のポイントについて解説します。また、筆者自身の経験を踏まえて合格への心構えや最終準備のアドバイスも紹介させていただきます。

宅建士資格の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

宅建試験の概要|初学者は基礎から抑えよう!

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不動産業界で働いている方であれば「宅建士」という資格は誰しもが耳にしたことがあるでしょう。また、不動産業界に就職・転職活動中の方のなかにも、採用のための武器になると資格取得を目指している方は多いはずです。

ここからは、宅地建物取引士試験についての概要を詳しく解説していきます。受験を検討している方は、ここからの内容で宅建試験の難易度や重要性を理解していきましょう。

 

そもそも宅地建物取引士試験の位置づけとは?

宅地建物取引士試験(宅建試験)は、不動産業界で「宅建士」として働くための登竜門です。この試験を突破することで不動産の売買・賃貸などの取引に関わる法律や知識を習得したものと評価されています。

ちなみに、意外に思われるかもしれませんが、宅建試験を合格したらすぐに宅建士と名乗れるわけではありません。正式に宅建士となるには以下のようなプロセスを踏む必要があります。

  1. 宅地建物取引士試験(宅建試験)の合格
  2. 都道府県知事の宅建士登録
  3. 宅建士証の交付

また、宅建業の実務経験が2年以上ない方は、資格取得後に登録実務講習を受講します。さらに、宅建士証の交付申請が資格取得後1年以上経過している場合は、法定講習の受講が必要です。

このように宅建試験は、不動産業界で宅建士として活躍するためのスタート地点という位置づけです。

 

宅建試験の目的

それでは、宅建試験にはどのような目的があるのでしょうか。端的にいえば、「信頼できる不動産業者としての基準、宅建士としての基準を確立すること」でしょう。

不動産の売買や賃貸は大きな金額が動きます。人生を左右するような大きな決断を迫られる場合もあることでしょう。そのようなときに、「ちょっと不動産系の法律は知らないんですけど、、、僕が何とかします!」という営業マンが現れたら、あなたはその人を信用できますか?

宅建試験の存在は、こうした「何の知識も経験もない人」の出現を妨げてくれます。そのため、試験に出題される内容は不動産取引に関わる法律や制度についての問題以外にも、不動産業者の倫理規定などが含まれています。

 

宅建試験の内容と科目、合格基準点

宅建試験は全部で50問四肢択一のマークシート方式です。受験資格は設けられていないため、どなたでも出願することができます。そのため、令和5年の試験では小学4年生(10歳)が合格を勝ち取ったという記録があるほどです。

また、出題される科目と問題数の内訳は以下の通り。

試験科目 問題数
民法等 14問
宅建業法 20問
法令上の制限 8問
税・その他 8問

宅建試験は合格基準点(何点取れば合格するといった数値)は定められておらず、受験者の相対評価で合否が決まります。ただし、一般的には35点が合格目標点と考えられているため、模試や過去問を解くときにはこの点数を基準に実力を測りましょう。

 

最新の宅建試験の合格率と出題傾向

年度 平成30年 令和1年 令和2年10月 令和2年12月 令和3年10月 令和3年12月 令和4年 令和5年
合格率 15.6% 17.0% 17.6% 13.1% 17.9% 15.6% 17.0% 17.2%
申込者数 265,444 276,019 204,163 55,121 256,704 39,814 283,856 289,096

宅建試験の合格率は毎年16%前後で推移しています。これは決して高い数字ではないですが、10%前後の行政書士や4%前後の司法書士に比べるとまだ易しい資格試験であると言えるでしょう。

また、近年の宅建試験は受験者のレベルが上がっている傾向、範囲全体から網羅的に出題される傾向があります。

受験者は毎年20万人を超えていて、試験問題のレベルは上がっていないのに合格点が上がっているという年がちらほら、、、

また、試験範囲全体からまんべんなく問題が作られているため、試験直前に「山を張っておく」のが難しくなっています。事前準備がますます重要になってきていますね。

 

宅建合格のための学習方法|4つのステップ

「資料を確認しながら授業を行う先生」の写真[モデル:SAKI]

宅建試験は自分の知識や経験から「ノー勉」で受けて合格するほど甘いものではありません。それは合格率にも表れています。

ではどのような方法で勉強を進めればよいのでしょうか。ここからは、宅建合格のための学習方法を以下の4ステップに分けて解説していきます。

  1. 参考書を一読して試験の全体像を把握する
  2. 出題される4つの科目の特徴を抑える
  3. 過去問を繰り返し解く
  4. 模試を受験して実力を高める

 

参考書を一読して試験の全体像を把握する

まずは参考書を一周しましょう。試験範囲の内容を一度頭に入れておくことで、ざっくり「ここは得意でここは苦手だな。」という手ごたえをつかむことができます。今後の学習計画も立てやすくなり、先の見えない不安を払しょくできるため、最初に全体像を把握するのがおすすめです。

 

出題される4つの科目の特徴を抑える

前述したように宅建試験は民法等、宅建業法、法令上の制限、税・その他の4分野から出題されます。民法は文章から論理的に状況を掴めるかがカギになり、宅建業法は業務に直結する内容を正しく理解する必要があります。また、法令上の制限や税・その他では、税金に関する計算に出てくる数値を覚えることが重要です。

このように宅建試験では分野ごとに性格が大きく異なるため、まずは参考書を一読して「問題のクセ」を把握しておくことが大切です。

 

過去問を繰り返し解く

参考書を使って知識を入れた後は過去問を使って実践的な問題に触れていきます。このときに大切になってくるのが、2020年度の試験から民法改正の内容が反映されているという点です。そのため、2019年度以前の試験では民法の範囲で参考書の内容と問題の回答が違ってくることがあります。

とくに参考書を読んですぐの時期は、2020年以降の過去問を解くことをおすすめします。

また、回答時間を測って実践に近い形で回答するというよりは、時間は参考程度に測っておいて1問ずつ問題文を正しく理解して丁寧に回答するのが良いでしょう。

 

模試を受験して実力を高める

試験日に近くなってきたら模試を受験して実践力を高めるのも一つの選択肢です。基本的には会場受験と自宅受験の2種類があります。会場受験の場合は7月から8月開催のスクールが多い印象です。以下で一例を紹介しておきます。

宅建模試は資格取得・通信教育の大手スクール講師が、近年の出題傾向や最新の法律改正を考慮して作っています。つまり、本番で同じような問題が出てきてもまったくおかしくないのです。そのため、受験スケジュールや予算などを考慮したうえで、本番前に1つは受験しておくのがおすすめです。

 

宅建試験対策は独学?通学講座?通信講座?

「ホワイトボードを見ながら登壇するセミナー講師」の写真[モデル:のせさん]

宅建に合格する方の勉強時間の目安は、200時間から300時間と言われています。それほどの時間を要する試験で独学でも大丈夫なのでしょうか?

ここからは独学のほかにも大手スクールが開催している通学講座、通信講座のメリット、デメリットについてまとめて紹介していきます。

 

独学のメリット・デメリット

独学は参考書や過去問などをすべて自分で調達して学んでいく方法です。

メリット|独学

  • 自分のペースで勉強を進められる
  • 好きな場所や時間に勉強できる
  • 苦手分野に絞って勉強ができる
  • 教材費以外の費用は掛からない

デメリット|独学

  • はじめのうちは学習計画や方針を立てるのさえ難しい
  • 疑問や理解できない部分を質問できない
  • モチベーションの維持が難しく挫折しやすい
  • 法改正に適切に対応できない

独学の最大のメリットは、資格取得に必要な費用を最小限に抑えることができるという点です。一方で、申し込みだけして試験日に会場に来ないという方の中には、「独学では勉強が追い付かなかった、、、」という方もたくさんいるのが事実です。宅建合格のためにコツコツ自分で勉強が進められる方はおすすめの勉強法と言えます。

 

通学講座のメリット・デメリット

通学講座は大手スクールが開催している宅建教室に通って、対面で授業を受けるという学習方法です。

メリット|通学講座

  • 専門の講師から直接指導を受けられる
  • クラスメートとの交流からモチベーション維持ができる
  • 最新の法改正にも対応しやすい

デメリット|通学講座

  • 通学にかかる時間や交通費がかかる場合がある
  • クラスの進行に合わせて学習する必要がある
  • 独学に比べて費用がかさむ

通学講座の最大のメリットは、志が高いクラスメートから刺激が受けられる点です。独学や通信講座を選択すると、どうしても感じてしまうのが「孤独感」。しかし、宅建合格という同じ目標を掲げている仲間が近くにいると、それだけで人間は本当に諦めにくくなるものです。会社や自宅からスクールまでの距離や時間を考慮して通学講座を申し込むか決めましょう。

 

通信講座のメリット・デメリット

通信講座は自宅のパソコンやタブレットで、大手スクールの映像授業を受講するという学習方法です。

メリット|通信講座

  • 自宅で学習できるため通学の手間がない
  • 通学講座よりも受講料が安い場合がある
  • 参考書や映像授業などの教材が充実している
  • 最新の法改正にも対応してくれる

デメリット|通信講座

  • カリキュラムに沿った学習が求められる
  • 通学講座よりも質問するのが難しい

通信講座は独学と通学講座のいいとこどりをした学習方法です。独学でたいへんになる参考書選びの手間が省けるだけではなく、講師からの添削やフィードバックも受けられます。独学では心配だけれどもスクールに通学することは難しいという方は、通信講座で効率よく合格を手繰り寄せましょう

 

宅建試験対策のポイント|経験者が語る合格への近道

白い陶器のマグカップの近くの茶色の木製のテーブルに書いている人

筆者は2021年度(令和3年)の10月試験に完全独学で合格しています。その経験を踏まえてこれから宅建試験を受験する方に向けたアドバイスを4つ紹介していきます。

 

試験範囲の全体像は1か月程度ですばやく把握する

宅建の教科書、参考書は手に取ったらわかるのですがかなり分厚いです。そのため、頭に入れながら読み進めていくとかなりの時間を要してしまいます。

そこで、まずは一冊の参考書を読み進める感覚ですばやく一周してみましょう。期間は4分野それぞれで1週間、あわせて1か月程度が目安です。

読み進める目的はあくまで「知識を叩き込むこと」ではなく、「全体像を把握すること」です。一読して理解できなければ「ふーん。そういうもんなのね。」くらいで次に行ってしまってOK!すべてを読み終わった時点で、「どの分野が難しそうなのか」「時間をかけるべき分野はどこなのか」がわかって、漠然とした不安も消えてきます。

 

繰り返し学習することを大切にする

みなさんは「エビングハウスの忘却曲線」を知っていますか?ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが人間の長期記憶について研究した結果、以下のような性質があることがわかりました。

このグラフを見たらわかることですが、人間はせっかく学んだことでもすぐに忘れる生き物です。しかし、定期的に復習をすることによって知識は定着しやすくなります。

宅建試験は試験範囲が広く、覚えなくてはいけないことがたくさんあります。つまり、反復継続して参考書や教科書を読むことがとくに大切です。

おすすめは参考書と過去問を最低3周はすること!

模試を受ける場合は、ただ受けて答え合わせをするのではなく問題の分析を行ったり、忘れてきたころにもう一度受けてみたりして最大限活用しましょう。

 

宅建業法を点が取りやすい分野(武器)にする

前述したように、宅建試験は宅建業法、権利関係、法令上の制限、税・その他の4分野で構成されています。ここで得点源としておきたいのが「宅建業法」です。理由は全50点満点のうち20点を占めているから。

文章問題はひっかけが少なく単純な知識を問うものが多いため、勉強量が得点に反映されやすい分野です。そのため、8割から9割(16点から18点)を取ることを目標にして勉強を進めていくことがおすすめです。

逆に言えば宅建業法で得点が伸びないと、合格から遠のく可能性が高まります。

何から手を付けていいかわからないという方は、まずは宅建業法の内容を完璧にしてみてください。

 

試験直前は重要な部分の暗記に徹する

宅建試験本番の前日から試験直前は重要な部分の暗記に徹するのがおすすめです。

具体的に言うと、「法令上の制限(都市計画法総合、都市計画法 、建築基準法総合、宅地造成等規制法 、農地法 )」や「宅建業法(宅建士、宅建免許、欠格事由、媒介契約)」「税・その他全般」を復習しましょう。

これらは試験問題として毎年出題されている内容です。中には数字だけでも覚えておけば得点できる問題もあり、直前の復習がそのまま結果に反映されます。最終チェックのリストを事前に付箋で作っておくなど、試験前に焦らないような工夫をしてみましょう。

 

勉強の効率を高めれば宅建は独学でも合格できる!

宅建試験は合格率16%前後の難しい試験ですが、あなたの工夫次第では独学での合格も十分可能です。学習を進めるステップは以下の通り。

  1. 参考書を一読して試験の全体像を把握する
  2. 出題される4つの科目の特徴を抑える
  3. 過去問を繰り返し解く
  4. 模試を受験して実力を高める

とはいっても、やはり独学は独学でそれなりの難しさがあります。参考書を選ぶのに時間を使いますし、自分で勉強時間を捻出しなけらばなりません。

そこで、大手スクールで開講している宅建試験の通学講座や通信講座を受けるのも一つの選択肢になります。宅建合格への道は人それぞれです。自分に合った選択をして後悔だけはないようにしましょうね。

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