外壁塗装の相場費用と内訳|良心的な塗装業者の特徴と費用を抑えるポイントを解説
ロシア・ウクライナ問題や世界的な経済危機によって、2022年以降日本でも物価高が続いていますが、外壁塗装のリフォーム費用もその例外ではありません。
2023年時点で、標準的な戸建て一軒の外壁塗装の費用相場は、80万円以上となっています。
一方で、外壁塗装は塗料の種類や施工時期、業者選びによって費用を抑えて行うことが可能です。
そこで今回は、外壁塗装の相場費用の内訳、費用を抑える5つのポイント、良心的な塗装業者の選び方について解説していきます。
外壁塗装ってどのくらいお金がかかるの?
ぼったくり業者のうわさも聞くからな。良心的な塗装業者を見分けるポイントを知りたいなあ…
という方は必見の内容です。
外壁塗装を依頼する場合の外壁面積ごとの費用相場
外壁塗装の費用は外壁面積によって大きく異なります。
ここからは、外壁面積の算出方法を抑えたうえで、延べ床面積ごとの外壁塗装の費用相場を紹介していきます。
外壁面積の出し方は「延べ床面積×1.2」
前提条件として、外壁塗装の費用相場は外壁面積の大きさによって決まります。
とはいえ外壁面積は、壁ごとに縦と横の長さを出して計算するのではなく、建物の延べ床面積に係数(1.2)をかけることによって算出することが一般的です。
ただし、住宅によっては平屋や3階建てなど異なるタイプがあるため、1.1から1.4程度に係数を変動させて計算することがあります。
また、延べ床面積を記録する資料が残っていない場合などは、坪数(1坪=3.3㎡)をもとに計算していきます。
【2023年版:早見表】坪数、延べ床面積、外壁面積ごとの費用相場
坪数(坪) |
延べ床面積(㎡) |
塗装面積(㎡) |
費用相場 |
20坪 | 66㎡ | 79.2㎡ | 40万円~70万円程度 |
30坪 | 99㎡ | 118.8㎡ | 60万円~100万円程度 |
40坪 | 132㎡ | 158.4㎡ | 80万円~130万円程度 |
50坪 | 165㎡ | 198.0㎡ | 100万円~160万円程度 |
60坪 | 198㎡ | 237.6㎡ | 120万円~200万円程度 |
70坪 | 231㎡ | 277.2㎡ | 140万円~230万円程度 |
100坪 | 330㎡ | 396.0㎡ | 200万円~320万円程度 |
*係数はもっとも一般的な1.2を使用しております。
外壁塗装の項目ごとの費用相場
外壁塗装のリフォーム費用を長期目線で見ると、耐用年数が長い塗料を選択した方が安くなる場合があります。
住宅の築年数や立地を考慮したうえで、経済的な選択ができるように塗料の種類は時間をかけて悩みましょう。
外壁塗装の費用は、材料費、人件費、補修・下地処理費、足場設置・高所作業費などの項目があります。
ここからは、それぞれの費用の内容と相場について紹介していきます。
【材料費】アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素
外壁塗装の全体費用は、塗料の種類によって大きく変動します。
塗料の種類はアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素の4種類で、それぞれ耐用年数や塗り替えの期間も異なります。
原材料名 |
耐用年数 | 費用相場(円/㎡) |
例:30坪戸建て |
アクリル |
3年~8年程度 | 1,000/㎡~1,800円/㎡程度 | 11万円~22万円程度 |
ウレタン |
5年~10年程度 | 1,500/㎡~2,500円/㎡程度 | 18万円~30万円程度 |
シリコン |
7年~15年程度 | 1,800/㎡~3,500円/㎡程度 | 21万円~42万円程度 |
フッ素 |
12年~20年程度 | 3,000/㎡~5,000円/㎡程度 | 36万円~59万円程度 |
外壁塗装のリフォーム費用を長期目線で見ると、耐用年数が長い塗料を選択した方が安くなる場合があります。
住宅の築年数や立地を考慮したうえで、経済的な選択ができるように塗料の種類は時間をかけて悩みましょう。
【人件費】職人の人数×施工日数
外壁塗装の費用の中で、最も大きなウェイトを占めているのが人件費です。
一般的に、職人1人あたりの1日の人件費は、1万5千円から2万円程度となります。
例えば、2人の職人が10日間施工に入った場合、30万円から40万円程度の人件費が必要となります。
安く見積もっても30坪の戸建ての外壁を塗装する場合に必要な人件費は、40万円を越えてくるでしょう。
【補修・下地処理費】高圧洗浄やシリコン補修
外壁塗装を行う前に、高圧洗浄機で外壁の汚れを落としたり、ひび割れや雨漏りの箇所を修繕したり、塗料が他の場所につかないように養生したりといった作業が必要です。
これらの費用の相場を以下でまとめています。
工事内容 |
費用相場(円/㎡) |
例:30坪戸建て |
高圧洗浄 | 100円/㎡~300円/㎡程度 | 1万円~4万円程度 |
養生 | 250円/㎡~400円/㎡程度 | 3万円~5万円程度 |
補修作業 | 900円/㎡~1,500円/㎡程度 | 修繕箇所の数による |
【足場設置・高所作業費】足場や飛散防止ネットの設置
外壁塗装は高所での作業となるため、足場の設置が必要です。
また、施工中の粉塵や塗装の飛散を防ぐために飛散防止ネットの設置が必要となります。これらの費用の相場を以下でまとめています。
工事内容 |
費用相場(円/㎡) |
例:30坪戸建て |
足場設置 | 700円/㎡~1,000円/㎡程度 | 8万円~12万円程度 |
飛散防止ネット | 100円/㎡~200円/㎡程度 | 1万円~2万円程度 |
外壁塗装の全体費用を抑えるポイントは5つ!
外壁塗装は、住宅の外観を美しくさせるだけではなく、外壁の耐久性を高めるために重要なメンテナンス作業です。
一方で、30坪の戸建て住宅の場合でも80万円程度と費用がかさむことがあります。そこで、外壁塗装の費用を抑えるポイントを5つご紹介します。
予算の範囲内で満足度の高い外壁塗装を実施しましょう。
冬季・雨季を施工時期にすると安くなる
外壁塗装の施工時期を冬季や雨季にすることで、施工費用を抑えることができる場合があります。
この時期は、外壁塗装の気象条件としては最適ではないため、工事が延期になったり工期が伸びたりする可能性があり、料金が割安になる傾向があります。
外壁塗装の需要が少なくなる時期にお得に施工を行いたい方にはチャンスです。
ただし、先述の通り気候条件によっては施工が難しくなる場合もあるため、相談して適切な時期を選ぶことが重要です。
外壁塗装と屋根塗装を合わせて依頼する
外壁塗装と同時に屋根塗装も行うことで、足場や飛散防止ネットの設置費用が一度のみの負担にとどめられます。
また、同じ業者に一括して依頼することで、手配や作業の調整がスムーズになり、結果として作業効率も上がります。
さらに、外壁と屋根の色調や塗料の種類を統一することで、見た目も美しくメンテナンスも同時期にすることが可能です。
助成金や補助金、火災保険が活用できる場合は申請する
外壁塗装には、地方自治体や国からの助成金、補助金が用意されている場合があります。
例えば、愛知県岡崎市には結婚新生活支援助成金、地域貢献型空き家改修事業助成金、中山間地域空き家改修事業費助成金といった補助金制度が整備されています。
外壁塗装を行う住宅の所在地の市区町村の公式ホームページから、助成金や補助金の内容をチェックしてみましょう。
また、外壁塗装は火災保険による補償対象となる場合もあります。
これらの制度を活用することで、費用の一部を節約することにつながります。火災保険の適応条件は以下の通りです。
- 災害が原因で外壁・屋根の破損が発生している
- 申請時期が被災から3年以内である
- 損害の補修にかかる費用が火災保険の免責金額を超えている
なお、申請には塗装業者の見積書を添付するのが一般的です。
見積もりを依頼している塗装業者に、事前に見積書の条件や申請する旨を伝えておくことがおすすめです。
地元密着型の自社施工を行う塗装業者に依頼する
地元密着型の自社施工を行う塗装業者に依頼することで、人件費や付帯費用を大きく抑えることができます。理由は大きく2つです。
まず、大手塗装業者よりも地元の業者を選ぶことで、中間マージンを省くことができます。
大手の業者は、実際の施工は下請け業者に任せて利ザヤを儲けようとするためです。
また、地元の業者は施工現場までの移動時間が短縮できるため、人件費や交通費などが抑えられます。
相見積もりを比較して相場観を養う
複数の塗装業者から相見積もりをとることで、適切な料金を提示する業者を選んで施工依頼することができます。
料金やサービス内容は塗装業者ごとに様々です。そのため、相見積もりを行わないと、素人は相場を把握することすらできません。
良心的な塗装業者の特徴は4つ!
良心的な塗装業者を選ぶことは、外壁塗装の成功には欠かせません。信頼できる業者を見つけるために、以下の4つの特徴に注目しましょう。
- 1時間から90分程度時間をかけて修繕個所の点検をしてくれる
- 見積書に工事内容の詳細を記載してくれている
- 完了報告のときに施工中の写真を提示してくれる
- 5年程度の保証期間をつけてくれる
1時間から90分程度時間をかけて修繕個所の点検をしてくれる
良心的な塗装業者は、修繕が必要な箇所を見逃さずに点検してくれます。具体的な点検時間の目安は、1時間から90分程度です。
必要によっては、屋根裏に入って雨漏りしているかを調べたり、軒天や雨どいの状態まで詳しく見たりしてくれます。
この丁寧な目視による確認によって、劣化が進んだ部分や傷んでいる箇所を見逃すことなく把握し、適切な修繕計画を立てることができます。
インターネットサイトによる外壁塗装の見積もりは、塗装費用の概算価格の提示にとどまります。
具体的で正確な見積もりは、やはり塗装業者の目視による点検がおすすめです。
見積書に工事内容の詳細を記載してくれている
良心的な塗装業者は、見積書に工事内容の詳細を明記してくれます。
見積書には塗装の範囲、塗料の種類と数量、下地処理や塗装の工程、それに伴う費用の詳細などが具体的に記載されているのが理想です。
ぼったくりの業者は、見積書の工事項目の欄に「塗装代金一式」とだけ記載して、実際の工事に必要な詳細情報を教えてくれない場合が多いです。
詳細まで記載されている見積書は、透明性のある料金設定を提供している業者の証ともいえるでしょう。
完了報告のときに施工中の写真を提示してくれる
カスタマーサービスを徹底している塗装業者の中には、工事が完了した際に施工中の写真を提示してくれる業者も多いです。依頼主側のメリットは以下の通りです。
- 実際の作業の進捗や品質を確認することができる
- 施工に対しての満足感や安心感が上がる
- 修復された箇所の確認をすることができる
住宅の外壁や屋根は、施工前も施工後もなかなか依頼主の目が届かない部分です。
それでも丁寧に完了報告時に施工中の写真を提示してくれる業者は、施工内容も充実している場合が多く、長いお付き合いがおすすめです。
5年程度の保証期間をつけてくれる
外壁塗装の保証期間は、塗装後1年間から10年間程度で設けられているのが一般的です。
その中でも5年以上の保証期間を設けている塗装業者は、良心的なアフターフォローを行っていると言えます。
保証期間の長さは、塗装技術の自信の現れです。
塗料の種類や施工範囲によって保証期間が異なる場合もありますが、5年を目安に業者選びをすると施工後にもしものことが起きても安心感があります。
外壁工事の選択肢としてサイディングも検討しよう
標準的な戸建て一軒の外壁塗装の費用相場は、60万円から100万円程度です。
塗装費用は、住宅の大きさだけではなく塗料の種類や施工時期などによっても変動します。全体の工事費用を安く抑えるためには、以下のポイントを抑えることが重要です。
- 冬季・雨季を施工時期にする
- 外壁と屋根一緒に塗装する
- 助成金や補助金、火災保険が活用できる場合は申請する
- 地元密着型の自社施工を行う業者に依頼する
- 相見積もりを比較して相場観を養う
なお、築年数や既存の外壁の状態を考慮すると、外壁塗装よりもサイディング工事を検討する方が安く済む場合があります。
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