宅建の登録実務講習とは?19社の中で最安の実施機関、合格後の流れや合格率を紹介
登録実務講習は不動業界での実務経験がない方が「宅地建物取引士」として仕事をする場合、必ず受けなければいけない講習です。
しかし、専門性が高いがゆえにあまり世間には知られていないのも事実です。そのため、
宅建士の登録実務講習の日程や難易度は?
「登録実務講習」によく似ている「登録講習」「法定講習」との違いは?
という疑問を抱えている方も多いでしょう。
そこで今回は、宅建士の登録実務講習についての疑問をまるっと解決できるように、講習の目的や日程、合格率について紹介していきます。
【この記事を読めばわかること】
- 宅建試験合格から宅建士になるまでの一連の流れ
- 登録実務講習の費用や難易度
- 登録実務講習と登録講習の違い
宅建の登録実務講習とは?
登録実務講習はすべての宅建士に必要な講習ではありません。ここからは登録実務講習が必要な方の条件について紹介していきます。
宅建試験に合格してからの流れ
宅建試験に合格してすぐに宅建士として活動することはできません。
不動産業界でのキャリアをスタートさせるためには以下のようなプロセスを踏む必要があります。本来、宅建士として資格登録できるのは不動産業界で2年以上実務経験を積んだ方です。
画像引用:不動産流通推進センター「宅建登録実務講習|宅地建物取引士|」
宅建の登録実務講習とは?
登録実務講習は、宅地建物取引士としての活動に必要な実務知識やスキルを身につけるための講習プログラムです。
不動産業界での実務経験がほとんどない方は、実務から学べる知識やスキルを持っていません。たとえば、不動産業者に内定が決まっている大学生が、卒業してすぐに重要事項説明を行ったり、契約書の記名をしたりするのは少しばかり不安が残りますよね。
そこで、宅建の登録実務講習を受けることで、「2年以上の実務経験を有する者と同等以上の能力を有する者」として認められ、宅建士の資格登録ができるようになります。
不動産業界の「実務経験」とは?
登録実務講習の要件にもなっている不動産業界での実務経験とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。実は、単に不動産業者に2年以上勤務している方という意味ではありません。
不動産業者に勤務していても、顧客への説明や物件の調査、契約書の作成などといった宅建業法上の業務を行っていなければ、「実務経験」にカウントされません。
経理や受付といった一般管理スタッフ、補佐スタッフとして従事している場合がこれに該当します。要件は細かく規定されていますので、気になる方は都道府県の公式サイトをご確認ください。
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfudou/tetsuzuki/takuchi/02touroku-1-1.html
宅建の登録実務講習の基本情報
登録実務講習は国に認められている機関でしか受講できません。日程や会場は機関ごとに違います。
ここからは登録実務講習の基本情報について解説していきます。
宅建の登録実務講習を実施している機関と費用
登録実務講習を実施している機関は全国に19つあります。また、費用も機関ごとに異なりますが、18,000円~22,000円が平均的な価格帯です。
機関の名称 |
登録実務講習費用 | 開催場所 | ホームページ |
株式会社 東京リーガルマインド | 22,000円 | 札幌、仙台、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、富山、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、山口、香川、福岡、沖縄 | リンク |
株式会社 日建学院 | 24,000円
(ネット割22,000円) |
全国47都道府県 | リンク |
TAC 株式会社 | 22,000円 | 全国のTAC校舎 | リンク |
株式会社 総合資格 | 20,500円 | 全国47都道府県 | リンク |
株式会社 九州不動産専門学院 | 27,500円
(早割13,200円) |
福岡 | リンク |
株式会社 日本ビジネス法研究所 | 早割15,000円 | 東京、横浜、大宮、船橋、名古屋、大阪、神戸、札幌、仙台、広島、博多 | リンク |
一般社団法人 TAKKYO | 9,800円〜
10,800円 |
東京、名古屋、大阪、博多 | リンク |
一般社団法人 職能研修会 | 20,000円 | 東京、神奈川、大阪、名古屋 | リンク |
株式会社 Social Bridge | 17,000円 | 大阪 | リンク |
株式会社 Kenビジネススクール | 18,700円 | 東京、大阪、愛知、福岡、沖縄 | リンク |
一般財団法人 ハートステーション | 18,000円 | 神奈川 | リンク |
株式会社 プライシングジャパン | 12,100円 | 東京 | リンク |
宅建ダイナマイト合格スクール 株式会社 | 30,000円 | 東京 | リンク |
株式会社 おおうら(自習室うめだ) | 22,000円
(早割17,600円) |
東京、大阪、名古屋 | リンク |
TOP宅建学院 一般社団法人 日本就職支援協会 | 早割18,000円 | 東京・横浜 | リンク |
クオリティオフィス | 18,000円
(早割11,000円〜) |
福岡、熊本、鹿児島、広島、岡山 | リンク |
大原出版 株式会社 | 22,000円 | 新宿、池袋、水道橋 | リンク |
一般社団法人 新潟県宅建サポートセンター | – | – | リンク |
一般社団法人 まなびの研究所 |
早割13,900円 | 大阪 | リンク |
東京・大阪・名古屋を中心に全国どこでも受講可能
登録実務講習は国土交通大臣の認可を受けたそれぞれの機関で申込・受講することができます。
東京・大阪・名古屋といった首都圏を中心として、全国47都道府県どこでも開催しています。
宅建士の登録は、宅建試験の受験地の都道府県で手続きをすることが決められていますが、登録実務講習はこのような縛りはありません。1日から2日のスクーリングもありますので、自宅や勤務先から通いやすい場所でにある会場に申し込むのがおすすめです。
9割以上の合格率、難易度はやや易しめ
登録実務講習の最後に行われる修了試験は、合格率が9割以上の比較的易しい試験です。
宅建試験のようにふるいを掛けるための試験というよりは、スクーリングの確認のための試験という意味合いが大きいためです。修了試験はテキストや参考書の持ち込みが許可されている場合が多く、わからないところは確認しながら解くことができます。
宅建試験のように気負いはせず、前日にはしっかりと睡眠を取って挑みましょう。
宅建の登録実務講習申し込みからの流れ
ここからは、登録実務講習の申し込みからスクーリング最終日に行われる修了試験までの流れについて紹介していきます。
約1か月間の通信学習
登録実務講習の申し込みをしたら、機関から通信学習のテキストと問題集、DVDが届きます。
通信学習ではDVDを見ながらテキストを読んだり、問題集に取り組んだりして宅建士の実務について勉強します。DVDの長さは約38時間です。
約1か月の学習を想定した内容ですが、必ずしも1か月まるまる使う必要はありません。学習のスケジュールも自由なので、学校の放課後や家事育児の合間に少しずつ進めていくことができます。
1日から2日のスクーリング
通信学習が終わったら実際に学校に通って勉強する時間(スクーリング)です。スクーリングの日程は登録実務講習の申し込み時に選択している場合がほとんどです。
全体で12時間のカリキュラムで構成されています。1日コースの場合は早朝から夜分遅くまで行われます。2日コースは朝から夕方ごろまでです。
登録実務講習のスクーリングは途中退出が認められていないため、体調管理に気をつけましょう。また、遅刻や早退は厳禁です。
スクーリングの持ち物
- 登録実務講習テキスト
- 登録実務講習資料集
- 受講証
- 写真付き身分証明証(運転免許証、パスポートなど公的な証明書)
- 筆記用具
- 時計
約1時間の修了試験
スクーリングの最後に約1時間の修了試験を行います。試験範囲は通信学習とスクーリングで学習した内容です。
テキストや問題集は持ち込み可能です。授業中に講師が話した内容をカラーペンでマークしたり、付箋を貼っておいたりすると修了試験がかなり楽になるでしょう。
出題形式はマルバツ(○×)形式と記述形式に分かれています。マルバツ形式、記述形式ともに8割以上の正答率で修了試験は合格です。
修了試験が合格基準に達していれば、登録実務講習修了証が発行されます。
宅建の登録実務講習の学習範囲
ここからは、登録実務講習の学習内容について紹介していきます。
機関ごとに多少タイトルの違いが出てくる場合もありますが、宅建業法に基づいて学習範囲が決まっているため基本的に内容は同じです。
通信学習のテキストに記載されている内容
【宅地建物取引士制度に関する科目】
- 宅地建物取引士制度の概要
- 宅地建物取引士の役割および義務
【宅地又は建物の取引実務に関する科目】
- 受付、物件調査及び価格査定の実務に関する事項
- 媒介契約に関する事項
- 宅地又は建物の取引に係る広告に関する事項
- 宅地又は建物の取引条件の交渉に関する事項
- 宅地建物取引業法第35条第1項及び第2項の書面の作成に関する事項
- 宅地又は建物の取引に係る契約の締結に関する事項
- 宅地又は建物の取引に係る契約の履行に関する事項
- 宅地又は建物の取引に係る資金計画及び税務に関する事項
- 紛争の防止に関する事項
通信学習では宅建士と宅建業についての内容を中心に学習します。
スクーリングで学習する内容
【取引実務に関する科目(業務の標準的手順の修得のための演習)】
- 取引の目的となる宅地又は建物の調査手法に関する事項
- 宅地建物取引業法第35条第1項及び第2項に規定する説明の実施に関する事項
- 宅地又は建物の取引に係る標準的な契約書の作成に関する事項
スクーリングでは必要書類作成のための調査、重要事項説明のやり方、契約書の作成の仕方について学習します。
お客様を相手にした大事な業務ですが、テキストだけでは伝わりにくい部分ですので、講師が直接伝えていきます。
宅建の「登録講習」「法定講習」との違いは?
宅建には登録実務講習と似ているものとして、「登録講習」「法定講習」があります。
ここからは、それぞれの言葉の意味と登録実務講習との違いについて紹介していきます。
登録講習との違いは?
登録講習は別名「5問(5点)免除」の講習です。宅建試験のときに有利になります。
受講できるのはすでに宅建業に従事している方だけです。正社員だけではなくパートやアルバイトでも「宅建業従業者証明書」があれば申し込みできます。
登録実務講習は宅建試験後に受講するのに対して、登録講習は宅建試験前に受講します。
法定講習との違いは?
法定講習は宅建士証の交付申請や更新のときに受講が必要な講習です。
【法定講習の受講対象の方】
- 宅建試験合格から1年以上たって宅建士証の交付申請をする方
- 5年ごとの宅建士証の更新をしようとしている方
法定講習は直近5年間の法律の改正点や不動産業界の紛争事例について学びます。
そのため、宅建試験合格後1年以内に宅建士証の発行申請をする場合は、法定講習を受講する必要はありません。
登録実務講習は時間とコストを考えて受講場所を決めよう
宅建の登録実務講習は宅建試験に合格した方で、不動産業界での実務経験が2年未満の方が対象となる講習です。国土交通大臣が認可した機関でのみ受講ができ、全国47都道府県で開催されています。
- 1か月の通信学習
- 1日から2日のスクーリング
- 1時間の修了試験
この3つのステップを踏んで学習を進めていきます。最後の修了試験が合格基準に達したら修了証が発行され、受験地の都道府県で宅建士登録を申請することができます。
申し込む機関を迷ったときは、受講費用も重視しつつ学校や職場から通いやすいスクールを選択しましょう。