「投資用不動産を選ぶときの基準は?」
「収益物件の内覧に行くときに確認すべき場所は?」
「失敗しない不動産投資にするために抑えておくべき注意点とは?」
「不動産は安定した不労所得が得られる」というイメージから、昨今ますます不動産投資に注目が集まっています。また、余剰資金を預貯金ではなく不動産として持っておきたい方のなかには、物件選びに頭を悩ませている方も多いでしょう。
今回はこのような悩みを持つ方のために、不動産投資用の収益物件を選ぶときの5つの基準について解説していきます。また、初心者が選んでしまいがちな「ダメ物件」の特徴や注意点についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
収益物件を選ぶときの5つの基準
収益物件を選ぶときに大切にするべき基準は5つあります。
1.立地条件・日照条件は良いか
2.ニーズに合った物件タイプであるか
3.価格・利回りの採算は取れているか
4.供給過多な間取りではないか
5.築年数は浅すぎないか
ここからはそれぞれの内容について、根拠や具体例を挙げながら詳しく解説していきます。
基準①:立地条件・日照条件は良いか
不動産投資は、その物件を借りてくれる人がいないと成立しません。駅から近い、リビングが南向きの物件であるなどの立地・日照条件が良い物件を選ぶことは、不動産投資の成功の近道となるでしょう。
また、立地が良い物件は需要が高く、条件によっては高めの家賃を設定することができます。入居者の確保に時間や労力を使わずに済み、空室リスクを抑えることにつながります。
さらに、駅から遠い物件は駅に近い物件に比べて地価が下落する傾向があります。「不動産投資は一に立地、二に立地、三に立地に、四に立地」という言葉があるように、立地が良い物件は最後に売却するときにも利益を生み出してくれます。
画像引用:国土交通省「駅距離区分別平均変動率(住宅地・全国)」
基準②:ニーズに合った物件タイプであるか
不動産投資と言っても物件のタイプはたくさんの種類があって、それぞれニーズが異なります。
物件タイプ |
ニーズ |
戸建て |
広いスペースが必要なファミリー層に人気。 |
一棟アパート |
単身者からファミリーまで幅広いニーズがある。 |
区分マンション |
都市部で生活する単身者やカップルから強い需要がある。 |
商業用不動産 |
テナントを構えたい事業オーナーから需要がある。 |
たとえば、都心部から離れた落ち着いた郊外では1Kの一棟アパートよりも、広々とした戸建て住宅の需要が高まります。駅から遠いエリアでは、とくに駐車場の有無が大切です。
「このエリアはどのような人が住んでいるのか」「この物件はそのニーズを満たせているのか」について、ときに自ら足を運んで確認することも大事です。
基準③:価格・利回りの採算は取れているか
【投資用不動産の信用力】
1.用意できる予算の範囲内の金額なのか
2.ローンを組む場合はCF(キャッシュフロー)が回るのか
3.金融機関からの融資条件はいいのか
【投資用不動産の稼ぐ力】
1.想定される家賃はいくらくらいか
2.いつから家賃が入ってくるのか
3.オーナーチェンジの場合、家賃が下がらないか
一方で、高い利回りにばかり注目してしまって、物件に潜むリスクを見落としてしまっては本末転倒です。大きな金額の買い物をする以上収支計画は大切です。価格や利回りの採算は合っているのかを慎重に確認しましょう。
基準④:供給過多な間取りではないか
物件を選ぶときに間取りを確認することも怠ってはいけません。とくに注意が必要なのが郊外にある1Kの一棟アパートです。
理由は、エリアによって単身者向けの物件が需要を越えた供給量となっていることがあるからです。そうした物件は入居者をなかなか見つけることができず、空室が続いて機会損失のリスクが高まってしまいます。
このような事態に陥らないように、あらかじめ賃貸サイトからどのような物件の募集が多いのかを確認しておきましょう。賃貸物件を紹介している大手サイトをいくつか載せておきます。
参照:賃貸住宅(賃貸マンション・アパート)情報|アットホーム
基準⑤:築年数は浅すぎないか
建物の価値は新築して入居後すぐに急降下していき、築20年を迎えたときには半分程度になっています。とくに新築の場合には、「新築プレミアム」と呼ばれる割増料金が物件価格に組み込まれています。
このように、建物の価値は購入したときと将来売却するときで大きな差が生まれてしまうので、慎重に選ぶ必要があります。
区分マンションの場合を想定した不動産投資の入門者へのおすすめは、新築に近い物件ではなく15年程度築年数が経過した後の物件です。収益物件選びでは価格ばかりに注目してしまいがちですが、建物の価値にも目を向けましょう。
画像引用:三井住友トラスト不動産「中古マンション 築年別の価格と経年変化」
収益物件選びで避けるべき物件の特徴
収益物件は入居者からの家賃が収益になります。そのため、入居者が入りにくい物件は避けるべきです。
また、不動産投資は出口戦略も大切です。手に入れた物件を購入価格以上で売れればベストですが、立地が良くないと必ずしもそうはいきません。
ここからは入居者が入りにくく、いい値段で売却もできない「ダメ物件」の特徴について紹介していきます。
騒音や悪臭、自然災害のリスクが考えられる
毎日生活する場所では、騒音や悪臭は大きなストレスになります。また、日本は地震大国です。地球温暖化の影響も相まって自然災害も多発しています。
生活に安心感を与えにくい以下のような物件は「ダメ物件」の候補になりえます。
1.線路沿い・交通量の多い道路沿いにある
2.救急車両や警察車両が頻繁に通行する
3.学校や保育園に隣接している
4.商店街・繁華街が近くにある
5.ゴミ捨て場・ごみ処理場が近くにある
6.1階がコンビニや飲食店のテナントになっている
7.海や河川が近い
8.山道・坂道が多い など
建物や設備に問題がある
投資する物件の建物自体や設備に問題がある場合も、入居率に大きく影響しています。
「ダメ物件」となる可能性があるのは以下のような物件です。
1.法定耐用年数を超えた築年数
2.リビングが狭くて暗い
3.「心理的瑕疵」と情報欄に記載されている
4.壁が薄くて隣の部屋の生活音が聞こえる
5.シャワーやトイレの水圧が弱い
6.スマホの電波が届いていない場所がある
7.床が傾いている
8.建具が最後まで閉まらない
9.共有のエントランス周りが散らかっている など
間取りに大きな問題がある
入居者から人気がない物件は、不動産仲介業者も苦手意識を持ってしまうため、避けておくのがベターです。その大きな原因として挙げられるのが「間取り問題」です。
1.リビングが狭い
2.収納がほとんどない
3.部屋の形がいびつ(円形や三角形、台形)
4.生活の導線が不便
5.コンセントの位置が悪い、または少ない
6.キッチンや玄関が狭い など
不動産投資は物件選びがカギ
投資用のアパートや区分マンション、戸建てを購入するときに、一番大変なのが物件選びです。なぜなら、不動産は一つとして同じものはないからです。たとえば、同じ区分マンションでも階が違うだけで家賃のみならず、入居率まで変わってきます。
しかし、すべての物件を自分の目で見て判断することは現実的に考えて難しいでしょう。そこで、以下のような基準を設けておくことが物件選びでは大切です。
1.立地条件・日照条件は良いか
2.ニーズに合った物件タイプであるか
3.価格・利回りの採算は取れているか
4.供給過多な間取りではないか
5.築年数は浅すぎないか
また、実際に物件に内覧に行ったときに「ダメ物件」ではないことを確認することをおすすめします。少なからず安い物件はこれらの要素を持ち合わせているものがほとんどです。
立地的な問題は解決しようがありませんが、設備の問題であれば交換やメンテナンスによって解決できる場合がありますし、間取りの問題であれば間取り変更工事をすることで解消できる場合があります。「必ずしも完璧な物件はない」ことを頭に入れて物件選びを行ってみてくださいね。